Pythonを用いて回帰分析をする。

機械学習のエッセンス」*1を勉強しているので、拙いながらもメモのため今回のように記事を残しておく。今回は、各都道府県の離婚率や収入、人口のデータ(cv.csv)を用いて前処理から線形回帰を行うことを目的とする。記載している回帰分析のコードは、機械学習のエッセンスを参考にして書いた。

まずは最初に以下のコードをimportして、準備をしておく。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import csv
import os
import pandas as pd
import linearreg
from mpl_toolkits.mplot3d import axes3d
%matplotlib inline

osモジュールは、作業ディレクトリの確認と変更のためにimportしておく。csvをimportする際に、必要に応じて作業ディレクトリを変更するので、その時に使えば良い。pandasは、後々データ整形がしやすくなるのでやっとく。linearregモジュールは、線形回帰のモジュールで解説は以下で行う。なお、linearregモジュールは、に記載のコードを参考にしている。

まず、データをpandasを使って整形し、離婚率divorceと収入incomeの項目以外を削除したものをdataとする。

csv_file = pd.read_csv("cv.csv")
data = csv_file.drop(["pop","car", "nm_m_30",
                                    "nm_f_30" ,"w_pop" , "conv", "gsm", "sm", "gpp",
                                   "Unnamed: 0"], axis=1)

次に、dataのincomeおよびdivorceを散布図として表す。

plt.scatter(data[data_col[0]],data[data_col[1]],marker="o")

plt.xlabel(data[data_col[0]].name)
plt.ylabel(data[data_col[1]].name)

plt.show()

出力結果が以下の画像。

f:id:bislogyaruka:20190126160337p:plain

次に、回帰分析のパラメータを返す関数reg1dimを以下のように定義する。

def reg1dim(x, y):
    n = len(data)
    a = ((np.dot(x, y) - y.sum() * x.sum() / n ) /
         ((x**2).sum() - x.sum()**2 / n ))
    b = (y.sum() - a * x.sum()) / n
    return a, b

パラメータa, b が上のようなコードで表されるのは、直線による回帰分析の一般論から導出されるのでここでは省略する。xをincome、yをdivorceとする。

x = data["income"]
y = data["divorce"]

x_income = np.array(x)
y_divorce = np.array(y)

a,bを求めるため、回帰分析を行う。

a, b = reg1dim(x_income, y_divorce)

最後に、求めたa,bを用いて回帰直線と散布図を描き、可視化する。scatterするのに、配列に変換する必要があるので、xをx_incomeのようにarray配列に置き換えた。また、x軸とy軸にラベルを貼ったほうがグラフが見やすくなるので、plt.xlabel(data[data_col[0]])でラベルの名前をつける。また、プロット図自体の範囲をどこからどこまでにするか決める必要がある。今回は、x軸を[0, xmax]、y軸を[b, a * xmax + b]の範囲で描いている。本来は0から始めないと行けないかもしれない。その場合は、[0, a*xmax +b]のように定義域を変えれば良い。

plt.scatter(x_income, y_divorce, color="k")
plt.xlabel(data[data_col[0]].name)
plt.ylabel(data[data_col[1]].name)
xmax = x_income.max()
plt.plot([0, xmax], [b, a * xmax + b], color="k")
plt.show()

出力結果が以下の図になる。出力結果を見ると、なんとなく収入が上がれば離婚率が下がる傾向にあることがわかるが、この分析からは因果関係までは読み取れない。因果推論については、現時点で私にはわからないので、パスさせてもらう。

f:id:bislogyaruka:20190126161707p:plain

ちなみに、aとbの値は以下になる。

f:id:bislogyaruka:20190126161959p:plain
aとbの値

・感想
今回は簡単な回帰分析をする際のコードの書き方を記事にしたが、思いの外データの前処理に時間がかかった。具体的には、pandasをimportして離婚率と収入の項目のみ抽出する部分と配列に直すのに時間がかかった。Python機械学習のコードを書きつつ、同時並行的に入門的なPythonの参考書で勉強する方がコードを書くスキルを効率的に身につけられると思った。わからないことがあれば、参考書の最初に戻ってみる、ググるなどをこなしていく。

2018年の年初から年末までの出来事を振りかえる。

 

昨年(2018年)は大学院修了や就職など人生における一大イベントがあったので、今回の記事は、そういった出来事も含めた2018年の振り返りと今後の抱負について書いていこうと思う。記録に残せる形にしておけば、出発点で何を考えていたのか振り返りやすいと思う。また、去年の経験を踏まえた上で、きちんと意思決定したい。

 

2018年の振り返り

 

(1) 大学院修了

 2016年から入院(???)していた大学院を修了することになった。今思えば、ゲージ理論をやりたいという思いで入った研究室であったが、色々な分野に手を出しすぎて、あまり内容を深く追求できていなかった。最終的には多様体上の偏微分方程式の分野で修論を提出したが、M1の途中で就活に全精力を傾けてしまったため、全体的に勉強不足の部分が多かった。これは、本当に悔しいところで、就活と研究の両立させるようなスケジュール管理能力がなかったのが痛いところだなと思う。ただ後でも述べるが、この就活もうまくいったとは言い難いものであったので、アレだなと思う。

 

(2) 1人暮らしを始める

 自宅からは1.5時間くらいかかる会社に入社したので1人暮らしをすることに決めた。家具店や量販店でベッドや本棚、冷蔵庫、電子レンジなどを購入した。さらに、

 

「期間限定でこのウォーターサーバーをご利用いただけますと、●%値引きいたします〜笑笑」

 

という量販店の口車に乗り、ウォーターサーバーも利用することに。最初はパックで郵送される水の代金が思いの外高く後悔していたが、利用していくうちに愛着が湧いてきた。

 

 

(3) 金融機関入社

 社会性がないと知人友人から言われていたので少し心配であったが、幸いいくつかの企業から内定をいただくことができ、その中でも待遇の良さそうなところに入社しようと思い、現在勤めている会社の内定を受諾した。4月はほとんど研修で金商法や事業内容の講義が多く、開始時刻が朝8時であり、2時寝11時起きがスタンダードになっていた俺は、無事船を漕ぐことに成功した。研修後は家に帰り、数理統計学を一から勉強していた。使用していた参考書はこれ。

 

 

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

 

 

 

確率収束や分布収束は大学院の授業で勉強していたものの、もう一度復習がてらにやってみようと思っており、この参考書は幅広くカバーしてあったので選んだ。数学科向けというよりかは、学部1,2年でやる確率統計をマスターしたので、より進んだ内容を身に付けたいと思う非数学科3,4年向けだと思う。ちなみに、数学科だと

 

数理統計学 (講座 数学の考え方)

数理統計学 (講座 数学の考え方)

 

 

これが和書の中では一番良いと思う。証明も載っているし、何より測度論を前提とする統計学の教科書は和書にはあまりないので、そういう意味では貴重な本だと思う。ただ、データサイエンティストなど実務で使うのにはあまり適さないかもしれない。データサイエンティストじゃないのでわからないけど。

 

(4) 正配属

 総合職という枠組みは、一般に、初期配属がどこになるのかがわからないため、新卒採用ではネックとされており、配属先が本人の希望もしくは適性と異なっているものになるケースがある。このことはtwitterでは時々議論になっている。実際、半年で日系大企業をやめてしまった人のブログ記事なんかも一時期話題になっていた*1

 

 私もおそらく採用面接時にやりたいと言っていた業務と全くと言って良いほど関係のない部署に配属されてしまったので、配属ガチャ失敗といえば失敗かもしれない。これに気づいたのは配属1週間目くらいで、当時は謎の書類をアレしてアレする業務をやっていたのだが、まあ自分の経験が活きない笑。そして、もともとはデータ分析系の仕事がしたかったので、次第になんでこんなことしてるんだろうなぁ、分析業務やりたいなと思い始めたのが、配属後1ヶ月目くらい。そこから、このままではいかんなと思うようになり、もともとやっていたpythonやRなどを一から勉強して統計分析を試みたり、TokyoRやmeet upなどエンジニアの勉強会などに少しずつ顔を出していくようになった*2

 

 

 

また、去年の終わり頃は、体調を崩してしまったこともあり、いよいよ「転」の機運が自分の中で高まっていた。もちろん社内異動ができるようにjnjには伝えていくつもりだけど、何年すれば異動になるかもわからないので、いざという時に動けるようにはしていくつもりではある。一応、LinkedInやエージェントには登録しているので、どんな感じの求人があるのかを探しているところ。

 

(5) Kaggle

 

          「データ分析をやるならまずKaggle」

 

という神のお告げがあったので、去年の終わりくらいからKaggleのデータセットを用いて、RやらPythonを用いてごにょごにょやっている。前処理なんかをやっていたら、1日が終わっていた…などということもあるので、慣れるまでは辛抱が必要だなと思った。コードを書くのは好きなので、スクラッチでもう少しかけるようになるまで練習していく。ただ、仕事が終わってからkaggleをやるのは結構精神力が必要なので、休日のまとまった時間にやるようにはしている。 

 

(6) 英会話に通う

 

 英会話学校に通学する費用を工面していただいているので、週に2回くらいは外人とおしゃべりしている。以下のtweetもその時の感想。

 

 

教科書に沿って、ロールプレイをするのがほとんどで、相手の言ったことを頭の中で反芻して適切な応答ができるように訓練しているがなかなか難しい。いつも外人とメールしているときに使うフレーズで、「What is the purpose that ~ ?」「Could it be possible to ~ ?」「It is ~ for ... to~」みたいないつも使うフレーズは口を突いて出るのだが、使用しないフレーズは本当に出てこなくてびっくりした。海外からも電話が時々かかってきて、「Hello? I'm~. Could you please~」とか言われているので、この調子では業務がままならないので、喋れるようにフレーズ等は喋りまくって叩き込んでいる。

 

それで、ここからが2019年の抱負なのだが、以下の3つに絞った。

 

1. 異動or転に向けて、統計解析や機械学習の分野でoutputをしていく。

2. 英会話ができるようにする。

3. 社外の人との交流を増やす。

 

と言ったところだろうか。あまり多くかくとどれもできなくなるような気がするので、今年は三つできれば十分ということにしよう。 

 

 

*1:Japanese traditional big companyで調べて欲しい

*2:仕事が落ち着いたらLTやりたいな

具体的な表現がないのは、何も理解していないということだ

大学生の頃、意識が高かった私は、1年生の頃から、よく他の専門の授業をとったりして、数学以外のことに重きを置いて勉強していた。大学4年の頃には、自分の専門である微分幾何以外にも、行動経済学と実験心理のゼミに参加していた。実験心理学は聴講だけど。

 

もともと大学では数学以外に心理学も勉強したかったのだが、心理学の教養科目を幾つかとっていくうちに、「もっと他専門的なことも勉強してみたい」と思い、つまみ食いのような履修になってしまった。

 

その中で、学生の間で「恋愛学」と呼ばれる授業があった。この授業は、ドイツの文化をテーマにしているはずの授業だったのだが、恋愛をテーマにしたオペラや進化心理学のテレビなどを見て、人間の恋愛行動について考えさせる内容になっていた。

 

内容が内容なものだから、カップルで受講したり、女子グループが数名で受けに来るなど、とにかく女子の参加率が高かったように思うし、毎回教室から学生が溢れんばかりだった。

 

この授業では、講義内容をもとに書いた感想文*1を提出するのが成績評価の方法だった。ある回では、オペラ*2を鑑賞して、登場人物の心情を考察することが感想文のテーマだった。

 

翌週、学生が前週に提出した感想文の中でも、教員の目を引いたものを幾つか学生の前で読むのだが*3、「登場人物の恋愛がうまくいかないのは、現代でもよくあることで、恋愛のような普遍的なテーマは、多くの人の興味関心をそそるのだろう」という感想文があった。

 

授業コメントとしては、一般的すぎて、授業を聞いていなくても誰でも考え付くような答えであり、あまり良い回答ではないように思った。しかし、学部の授業でのコメントなんて大体こんなもんだろという思いもあった。

 

この感想文に教員は偉く不愉快に思ったのか、「こういった感想文は、授業をろくに聞いていなかったやつが書くものであり、過度に一般的な表現を用いているだけで、何も分析できていない。具体的な表現がないのは、何も理解していないということだ。」と言った。

 

その後、「以降、こういった回答する学生はたとえ出席してコメントを提出しても、点数は与えない」とまで言っていた。

 

正直この言葉が、文系の学部の授業で出てくるとは思わず、非常に驚いた。当時、心理学や経済学などの文系の専門科目も履修していたが、ここまで厳しい指摘(というかまっとうな指摘)をする教員に出会ったことはなかった*4

 

この授業はとにかく人が多く室内も異様に蒸し暑かったので、やる気が削がれてしまい、途中でリタイアしたが、学生のしょうもない性体験を聞かされるよりもこの言葉が最も印象に残っており、今でも頭の片隅に置いてある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:本題に少し関係しているので、ここで少し補足をしておく。この感想文がきわどい内容が多い。例えば、恋人との夜の営みやホテルまでの連れ込みの内容を具体的に表現している感想文など。おそらく、自分で意思決定したことは、手順やその時の自分の感情の揺れなどに非常に敏感になるものだから、他者に語るときには非常に具体的になるのだろう。逆を言えば、あまり具体的でない話や詳細が途中過程が省かれている話は、まゆつば物の可能性があるということである。

*2:確かプッチーニだったように思う

*3:もちろん、名前は非公表である

*4:たいていの教員は何も言わず、レポートや試験でボコボコにしていた。

理学部数学科の学部or修士の人の就活についての感想

 

この記事は、私の周りの数学科の人間の就活についてのただの感想文であり、その他の人たちには何の参考にもならないかも知れない。特に、部活やアルバイトをPRしたいと思っている人は回れ右して、アレナビやそれナビなどの記事を見る方が良いと思う。

 

 

数学科に進学すると…就職やばいの?

 

「数学科って、芸術系の次に自殺率が高いんだよ?進学して大丈夫?(笑)それに就職先もあまりないし。」

 

 

 

私が数学科に大学進学しようと考えたときに、母校の化学科教諭に真っ先に言われたのがこの言葉だった。当時は、他人の意見にまったく興味を持てなかったので、「へぇ、そうなんですねぇ。」と言ってさらっと流していた。

 

自殺率が高いのどうかは調べていないのでなんとも言えないのだが、就職先がない…これは違うと断言できる。少なくとも、数学科在籍ということが、就職活動に置いてデメリットになることは一切ないと思う。伝統的には、IT(プログラマーやソフトウェアエンジニア、昨今ではデータサイエンティストなど)や金融(アクチュアリークオンツ)が数学科の就職先として挙げられ、コンサルティング会社に就職する人も増えており、就職先がないということはない。*1もちろん給料も平均よりはだいぶ上だと思う。しかしだからと言って他の就活生(特に非数学科就活生)に比べて優位に進めていけるかは、コミュ力()が重要だと思う。

 

 

 

クオンツアクチュアリー、データサイエンティスト、エンジニアなどの職業の場合は数学の素養がある人が多く、採用活動にもそういった人が登場してくるので、意外と研究については話しやすいと思う。実際、フーリエ解析について話したところ、理解してくれる人も多かった。特に金融系はわかってくれる人が多い。*2学部で習う多様体フーリエ解析、確率統計などは何となく知ってるという感じだろうか。工学部の定期試験で出題される数学の問題を参考書を見ながらであれば解けるくらいを想定しておけば良いと思う。

 

 

自分の研究内容を素人にもわかりやすく説明することができればあまり問題はないと思われるが、自分のやってる研究が専門外の人から見るとあまりにも抽象的すぎるため、わかりやすく説明することが難しかったり、その分野の研究をある程度理解していないと研究の意義を理解させることが難解な場合もあると思われる。

 

 

 

私の知人で、力学系の分野でLorentz flowについて研究している人物がいた。彼の分野では、天候のモデルとして用いられている微分方程式を解析することが必要なのだが、現実の物理現象とリンクしているため、研究の内容を素人に対しても説明しやすく、ウケはよかったと言っていた。日常生活で遭遇する事象と関係ある事柄であれば物理現象もイメージしやすいので、天気予報について数学的に研究しているというのは面接でうまくいきやすいだろう。こういった物理と関係ある分野の場合、研究内容だけでなく、研究動機や研究手法までもわかりやすく説明しやすいのでアドだと思う。

 

 

 

一方で、トロピカル幾何学圏論など、純粋数学の中でもだいぶ抽象的な分野を専攻していると、面接で説明するのに苦労したようだ。実際、トロピカル幾何*3を専攻した知人によると、「それって一体なんの役に立つのか?」と言われることもしばしばあったようだ。こういった基礎分野は専門外の人間からは「役に立つor立たない」の軸で語られがちであり、数学科の人間も現実社会への応用を念頭に置いて勉強or研究をしているわけではないということも相まって、うまく研究の必要性や魅力を説明できないことが多い。

 

 

こういう場合は、研究の話はそこそこに、研究で培ったメタスキルをアピールするのが常套手段だと思われる。研究遂行能力が会社に入った時にどう役立てるかを説明すると良い。実際、こっちは結構詳しく聞かれる。私が聞かれたのは、「解けない問題に出会ったとき、どうやって解決してきましたか?」というもので、オーソドックスといえばオーソドックスな質問だったと思う。

 

あと、余談だけど愛想や見た目、所作は大事。他の理系の人たちはこういった「他人からどう見られているか」ということを考えるのが苦手な人が多いので、ちょっと気をつけるだけで、他の学生よりもだいぶ印象が良くなる。*4

 

ここまでは、数学科にも就職先はちゃんとあり、それなりの苦労はあるにせよ、悲観する必要もないという話をしてきた。その一方で、人前に出て自分の学生時代の経験を喋るのが苦手*5という人は、理系が就職に有利、経済状況が良くなってきたと言われる昨今においても、希望する企業の内定を得るのは難しいらしい。そこまで就職難易度が高くなければその限りではないが。私の周りでも、うまく喋れず苦労している人はいた。ゼミ発表で本来人前で話す訓練はしこたまやっているはずだが、それとは別種の困難があるらしい。*6同期を捕まえて練習しまくるしかない。

 

あと、大学のキャリア支援課は理系就活のノウハウがない*7ので、ITや金融の専門職向けの研究アピールみたいなことを彼彼女らに相談しても、「難しいことやってるね。ところで部活とかアルバイトとかはどんなことやってた?」みたいな展開になる。というか俺はなった。というか文理問わずあまりよくわかってないのではないかというそもそも論はここではしない。

 

ITや金融が多いように思うけどそこ以外には就職してないの?

 

確かに金融やIT企業への就職実績は豊富であり、最近ではコンサル、官公庁、メーカーなどでも採用実績が増えているが、前者に比べればまだ少ない(?)と思われる。とりわけ、食品や消費財など、目に見えるものを売っている企業への就職実績は少ないと思われる。

 

これは数学科が不利ということではなく、単純な興味関心の問題だと思う。

 

「IT企業や金融へ就職する人が多い」というのは、この間院生室で議論になったテーマで、数学科(純粋数学専攻)の人間は実体のあるモノにほとんど興味がない人が多いからなのではないかという結論になった。

 

ここで「いや、お前さっき物理がどうとか日常生活がどうとか言ってただろこのすっとこどっこい調子に乗るなはなたれ小僧。」という読者もいるかもしれない。もちろん、物理や生物学、化学反応など実体のあるモノを対象に考察した、数式や問題設定を考える場合も多くあるが、数学以外の場合は、具体的な事物を対象に考察し、一般がどうなっているのか分析するのに対し、数学の場合は、ある性質を持った図形や写像などの数学的対象の振る舞い一般を分析することを念頭に置いているため、実はアプローチの仕方が逆なのである。そういった意味で、数学徒は具体的な現象そのものよりも、数式やモデル、もっと言えば言語で記述された体系を詳しく調べることに興味関心が向いており、その興味を満たしやすいのが先に述べたような職種なのではないだろうか。

 

システムを自分で構築し運用することは、 コンサルや官公庁でも求められるスキルだし、興味を持つ人がいるのもわかる気がする。

 

 

 以上が数学科にいて就活をした人間の雑感である。

 

 

 

 

 

 

 

*1:数学科かどうかよりも、数学科がある大学は偏差値が高い大学なので、結局就活では学歴が効いているだけだという批判はあると思う。

*2:もちろん、ここでいう「わかっている」は、数学科のゼミで発表するレベルということではなく、数式から何となく物理現象を思い浮かべることができたり、計算したらそうなりそう、というイメージが持てるくらいのことである。逆にそういったイメージを持たせるように会話を誘導することができれば良いとも言える。

*3:実数の全体Rにトロピカル演算と呼ばれる特別な演算を導入した、代数幾何学の一分野。詳しくはhttp://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~ishikawa/tropical/ishikawa-tropical07.pdf を参照してみてほしい。

*4:男子学生は自分の見た目に気をつけない人が女子学生よりも多いように感じた。鏡を見て、髪がはねてないか、ネクタイは緩んでいないかなどをチェックするだけなのでそこまで負担はない。正直くだらないとは思うが、面接の際に注意された人が私の知人にいた。変なところで減点されたくはないだろう。

*5:面接で上がってしまうというレベルではなく、「自己PRは?」と聞かれて何も喋れなくなってしまう人がいるのを聞いた。

*6:ゼミ発表の方が数百倍は怖いというのが多くの人間の感想だと思う。

*7:重要な情報は研究室や学科にだけ流れてくる。また、リクナビマイナビといった企業紹介しかやっていないサイトを見ても無意味だと思う。

「社会調査」のウソを読んだ感想

  • はじめに

古今東西の社会調査の中には、調査目的や手法がずさんなため、誤解や悪影響を与えてしまうものがある。このような調査を本書では「ゴミ」と言って徹底的に批判している。本書で、語られることで重要な考えは、「社会調査は真実を突き止めるものであって、特定の目的や思い込みが入ってはいけない」というものである。著者からの「ずさんな社会調査やって悦に入ってる団体とか企業、マジで今からボッコボコにするから覚悟しとけよな!」という意気込みが感じられる。対象とする読者は、「メディアでよく社会調査をやってるけど、実際どう読み取って良いかわからない」という人だろう。

 

 

  • 面白いと感じたところ
    因果関係と相関関係に関する話が面白いと感じた。本書でも幾つか例が挙げられているが、以下のダイエット食品と肺結核に関する記事が典型例だろう。

 

「ダイエット食品は減量に役立つか」

ダイエット食品の紅葉に疑問を持ったマリエ・アンゾ博士は、ランダムに選んだ男女1000人ずつ、計2000人に1日に食べるダイエット食品の回数と量を尋ねてみた。ついでに各自の肥満度[( 身長ー体重)/110]も測定してみた。その結果次のことが判明した。

 

(a)ダイエット食品を食べる回数が多ければ多いほど、肥満度が高い。

(b)ダイエット食品を食べる量が多ければ多いほど、肥満度が高い。

 

 結果としてマリエ・アンゾ博士は、ダイエット食品は効果がないばかりか、逆の効果が観察されると発表した。さて、この調査はどこがどうおかしいか。

 

(本書 p128 l2-9より引用)

 

 

答え:単に太り過ぎの人がダイエット食品を食べていた

 

つまり因果関係が逆で、

 

「ダイエット食品を食べたから、太った」のではなく、「太っている人がダイエット食品を食べていた」だけだったのであった。

 

この手の論法って日常にたくさんあふれてるんじゃないかと思われる。

 

「塾に行ったから、学力が上がった」→「もともと頭の良い人が塾に行ってただけ」

 

例えば、こんなのはどうだろう。(自分で考えてみた例)

 

「アイスクリームの消費量が多い日は、熱中症にかかる人間の数が多いことがわかった。この調査から、アイスクリームを食べる人は熱中症になりやすい」

 

これは、どこがおかしいと思うか。これは、

 

「アイスクリームを食べると熱中症になりやすくなる。」→「アイスクリームの消費量が増える日は気温の高い日が多く、気温の高い日は熱中症になりやすい。」

 

なので、これも相関関係と因果関係がおかしな例に挙げられると思う(原因は気温)。

 

 

 

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

 

 

最近よく聞くFintechについての入門がわかる一冊。 柏木亮二著「フィンテック」日経文庫

 あらすじ

フィンテック(FinTech)というのは、金融(Finance)+技術(Technology)を併せた造語であり、金融サービスがIT技術の発展に伴い、今までよりも便利で使い易いサービスになって来ているぞ〜という本。FinTechの具体例として、電子決済、家計簿アプリ、保険の見直しサービス、投資アドヴァイザリー、学生ローンの借り換え、個人間送金、ビットコインなどの事業が挙げられる。アメリカ発のベンチャー企業がどんどん金融業界に参入しており、既存の金融サービスを提供している企業を脅かしている。FinTechに当たるものとして、電子決済サービスの「Paypal」や家計簿クラウドサービスの「Money Forward」などのサービスが代表例として挙げられる。なお代表的な企業は他にもたくさんある。*1

 

日本のFinTechはどんな感じか?

 

では、日本にはFinTech関連ではどのような事業があるのだろうか。私が個人的に興味を持ったクラウドファンディングについて調べてみると、クラウドファンディングであれば、「CampFire」*2や「READYFOR」*3などが有名らしい。

 

下のCAMPFIREのリンクでは、新しいタイプの書店を立てるために資金をクラウド上で募っていた。

camp-fire.jp

 

 

他にもアニメやゲームの製作やクラシック音楽専門のメディア創設に関わる費用を工面するために利用したりと面白いものも多かった。

 

 

 

フィンテック (日経文庫)

フィンテック (日経文庫)

 

 

数学科は一体何をしているのか..........

[Abstract]

この記事では、数学科に所属している私が他学科によく聞かれる「数学科って何やってるの?」という質問に対する僕なりの考えを書いてみた。数学科(私が純粋数学専攻なのでそのことを念頭に置いている。)と他の理系学科との違いを主に書いている。主に数学以外の理系の方向け。

 

[本文]

まず、数学科がどのように見られているか考えてみる。google検索で「数学科」と打ち込んで、以下のようなキャッチーなものがあった。これを踏み台にして考えていきたい。

 

matome.naver.jp

 

corobuzz.com

 

リンクを貼ったサイトに書かれていることは大部分が極端な話だと思うが、「一冊の教科書を120時間かける」というtweetがあるけど、これはある

 

 

一般に、数学科生は、読んでる教科書にもよるが、1日1ページ進むか進まないかという日もあるくらい読むのが遅い。

 

 

(極端な話ではあるが、知り合いの心理学博士過程の院生に「教科書とか論文ってどれくらい読んだ?」と聞いたところ、「修士の頃は論文を一年で50報は読んだなあ」と言っていた。普通の数学科修士過程の人がこれをやるのは不可能だろう。)

 

 

数学科とそれ以外の学科では論文や教科書の読むスピードが概ね異なる。これには理由があって、数学の場合、高校の頃の教科書のように行間がきちんと埋められていないということと、専門用語が抽象的すぎて理解しがたい、ということが挙げられる。

 

 

前半の行間が埋められていないというのを具体例で考えてみる。例えば、以下のように教科書では記述されていたとする。

 

 

よって、{w_k}はL^2のコーシー列となる。したがって、

 

あるw ¥in L^2 ; w_k ¥to w in L^2.

 

となる。

 (堤誉志雄著 偏微分方程式論p56より引用)

 

ここでは、コーシー列だから収束して、収束先がL^2内に存在すると述べているわけだけども、「なぜ収束するのか、なぜ収束先がL^2内にあるのか」という説明が抜けている(本来この部分は読者が説明できなければならない)。

 

 

 

証明の最中の主張と主張の間にある論理の飛躍を「行間」というが、これに気づいて説明できるようになるためにいろんな本を参考にしたり具体例を考えたりなどをしているとあっという間に時間過ぎてしまう。

 

 

 

ここでは数学では教科書の行間に隠されている主張をきちんと説明することが重要だと述べた。一方、「きちんと」説明するからには、使われる用語は厳密に定義されている必要がある。

 

 

 

そこで、後半の定義の厳密さと抽象度の高さについては今度の記事で述べていきたい。

 

 

  •  おまけ

本文で紹介するのが面倒になってしまったので、あとはQ&A形式で答える。

 

Q.数学科の人って好きな素数ってあるんでしょ?

A.ない。何か特定の素数が気に入っている人は、数学科と言うより情報系など応用系の人たちに多い気がする。数学科の場合、特定の素数というより素数一般が持っている性質に興味があると思う。

 

Q.「n杯飲めてn+1杯飲めないわけがない、はい帰納法」って飲み会のコールあるんでしょ?

A.ない。そもそもn杯飲めてもn+1杯飲めるとは限らない。ちなみに、飲み会において「俺酒加算回飲めるから」というのは実際聞いたことある。どこにでも勇者はいるものである。

 

Q.「写真撮るとき、1+1は〜?」って聞かれて定義不足とか言っちゃうんでしょ?

A.ない。というかピースしてくれない。ちなみに、学内で移動中に石につまづいたとき、「こんなところに特異点があったか。」と言った知人はいた。

 

Q.ベクトルを太字で書かないの?

A.僕は気づいたら太字で書いてなかった。太字で書かない教科書は多い。

 

Q.数学科の人って5次元とか見えるんでしょ?

A.大半の人間には見えないが、一部見える人はいるらしい。私の指導教員の話であれば、博論提出直前は忙しすぎて4次元まで見えたらしい。他にも代数幾何のある教員に研究の話を聞きに行ったら、「4次元までなら見えるんですけどね〜5次元はちょっとね。。。(笑)」と言っていた。わけわからん。ちなみに、この教員は「微分幾何とか位相幾何の問題の多くは代数幾何に帰着されるんだよね。だから代数幾何以外いらなくね(笑)」みたいなことを言っていた気がする。ちびりそうになった。さすがにいるだろ。

 

 

 

こうしてみてみると、数学科以外の人間がこの手の神話を作り出しているのではないかと思えてきた。