僕も受験の頃にこういう知識があれば良かった…書評「外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か」
こんばんは。この夏、海外からの人たちが集まるワークショップに私は参加するので、英語の勉強に本腰を入れようと思ってamazonでよさげな本を探していたところ、今回紹介する本の評判がよかったのでぽちってみました。
この本では英語学習を第二言語習得論という言語学の研究分野からの知見をもとに解説しています。第2言語習得論とは、母国語を習得した人が外国語を習得するにはどのようなプロセスを経るのかを研究する分野です。
・英語を日本人が習得するのはかなり難しい
大学に入ると多くの学生は第2外国語(フランス語、ドイツ語、中国語等)を学ぶと思うのですが、その時たびたび聞くのが「中国語や韓国語は日本語に似てるから欧州の言語に比して習得しやすい」という噂です。この噂は、第2言語習得論において、より一般的なテーマ「言語間の距離」で議論されており、例えば本書によれば英語を母語とする人が習得するのが最も難しい言語は、中国語や日本語など東アジアの言語であり、最もやさしい言語はフランス語やドイツ語など欧州の言語です。これは、文法や単語、発音などが似通っている部分が多いほど、母国語の知識を転用しやすいからだと考えられています。日本語と英語は母国語の知識を転用できる部分がほとんどないため日本人にとっては難しく感じるそうです。
・外国語を習得するのは若いほうが有利か。
英会話スクールに自分の子供を入れるのが私が小学校の頃に流行っており、その理由として当時挙げられていたのが、「小さいころに英語を勉強したほうが身に付きやすい」というものでした。また、海外に赴任した人の場合、一番英語が上手に使えるのが自分の子供だった、という話もチラホラ聞くかと思います。このように、ある時期を境に外国語の学習が不可能になるという仮説を臨界期仮説と言います。しかし、この臨界期仮説に関してよくわかっていない部分が多いとのことです。実際、本書でも
ここで注意しておかなければならないのは、学習年齢が成否に強い影響をあたえる、ということについては、研究者の間で意見が一致していますが、臨界期仮説というものが実際にあるのか、またあるとすればそれが何歳くらいなのか、ということについては、まだ合意がないということです。(本書p32 L1~L4より引用)
と書かれています。本書の第2章では、このような臨界期仮説にまつわる論争について述べられています。
以下は本書の章立てです。
1、母語を基礎に外国語は習得される
2、なぜ子供はことばが習得できるのかー「臨界期仮説」を考える
3、どんな学習者が外国語学習に成功するかー個人差と動機づけの問題
4、外国語学習のメカニズムー言語はルールでは割り切れない
5、外国語を身につけるためにー第二言語習得論の成果をどう生かすか
6、効果的な外国語学習法