ヒト真似にはちゃんと意味があった!

 

今回の記事は備忘録として、実験心理学の内容を書いていきたいと思います。学ぶというのが「まねぶ」(真似をするという意味)が由来であるという話をどこかで聞いたことのある人がいるかと思います。その「まねをする」という行為には、ミラーニューロンシステムという名称がついています。

 

 1.ミラーニューロンシステムとは

ミラーニューロンシステムとは、

・他者の意図の理解・模倣による技能学習・共感機能・言語の獲得

を行う際に働いていると考えられる心理メカニズムのことです。他者の行動をまねすることで、他者の意図や感情に共感し、学習の基礎やコミュニケーションを発達させることにつながっているのではないかと考えられています。赤ちゃんが親の行動をまねするというのが典型的なミラーニューロンシステムの例です。

 

ミラーニューロン領域は脳の腹側運動前野のF5(下の図の下前頭回あたり)と下頭頂葉であると考えられています。(下図)

f:id:bislogyaruka:20160207165907p:plain

 

2.ミラーニューロンシステムはどんな影響を私たちに与えているのか

 

こうした模倣が自分の脳に影響を与えているという研究結果もあります。Calvo-Merino et al.(2005)によれば、バレエ経験者にバレエとカポイエラの映像を見せるとカポエイラの映像を見せた時よりバレエの映像を見せたときの方が、ミラーニューロンが活発に反応し、一方、カポイエラ経験者に両方の映像を見せるとカポイエラの映像を見せたときのほうが反応は強いという結果が得られています。

 

つまり、あたかも自分が映像の人物と同様の動きをしているように脳が反応している、ということを意味しています。しかし、両方の技能が未経験の人に対して映像を見せても脳の活動に違いは見られなかったということもわかっています。 

 

このように誰かのまねをする、あるいは誰かの行動を見るというだけでも「まなぶ」ことにつながっているのだなと思います。